3月に突如として始まったコロナ禍。
私が働く支援学校でも生徒達にコロナ疲れが見え始めていました。
「今年はコロナで遠足も運動会もなくてつまらないよ」
「自粛も飽き飽きだ。どこか楽しいところに連れて行ってよ」
確かにその通りです。 最近のコロナ押さえ込みと政府によるGo To トラベルキャンペーンが 功を成し、最近はテレビでも旅行を楽しむ家族連れなどの姿が目立つようになってきました。 長い間我慢してきた生徒達に楽しい旅をプレゼントしたい。 そんな気持ちで校長に相談し、バス会社から助言を受けてこの企画がスタートしました。 元気一杯で好奇心旺盛の子供達が安心・安全に楽しめるよう一生懸命考え、私も引率のため他の先生方と同行しました。

旅のスケジュール

1.支援学校を出発
2.北淡路震災記念公園に到着/見学と昼食
3.淡路夢舞台に到着/散策
4.ホテル&リゾーツ南淡路に到着/宿泊(1泊目)
5.ウェルネスパーク五色 浜千鳥に到着/観覧
6.ホテル&リゾーツ南淡路に到着/宿泊 (2泊目)
7.神戸どうぶつ王国に到着/見学

淡路に向けてリフト付きバスで出発

支援学校にリフト付きバスが到着しました。
このバスは横からリフトが出てきて、足が不自由な子供達も車椅子に
乗ったままスムーズに乗り降りできる安全設計です。
車椅子は車内で固定されるため走行中の揺れも気になりません。
しばらく外出がおあずけだった生徒達も、補助員さんに手助けされてニコニコしながら乗車。いよいよ出発です。

北淡震災記念公園で阪神・淡路大震災の爪痕を体験、国指定天然記念物・野島断層を見学

支援学校を出発後、休憩を挟みながら約2時間半走り、バスは北淡震災記念公園に到着しました。ここは阪神・淡路大震災の原因となった国指定天然記念物の野島断層や被災した民家を保存・展示しており、生徒達の社会見学にピッタリの施設です。
国道43号が倒壊した様子の再現模型、震災関連の写真パネルや活断層の地図も展示されています。
阪神・淡路大震災当時の震度7の揺れが体験できる「震災体験館」もあり、体験した子供達が歓声をあげていました。
幸い他のお客様が少ない時間帯でしたが、私は周りに迷惑がかかるのではないかとヒヤヒヤしながら見守っておりました。

ランチは北淡震災記念公園内にあるレストラン「さくら」で、あら汁やたこの唐揚げなど、地元の魚介類を使った料理を美味しくいただきました。

淡路夢舞台で世界的建築家安藤忠雄安藤忠雄氏の設計による水と緑を多用した公園と建築物を堪能

淡路夢舞台は「自然との共生」をテーマに世界的建築家の安藤忠雄氏が設計、2000年に完成した海と山に囲まれた雄大な公園で、淡路島の隠れ家的スポットとも呼ばれる名所です。
ホテル、国際会議場、植物館などのコンクリートの建物のいたる所に噴水、滝や花壇が設置され、斜面に沿って流れる階段状の滝など、子供達も楽しめる開放的なスペースでした。
園内にはかなりの高低差がありましたが要所要所にエレベーターやエスカレーターが設置され移動が困難な生徒達も散策を楽しむことができました。

大鳴門橋と海を臨むリゾート、ホテル&リゾーツ南淡路に連泊

生徒達にコロナ疲れを癒して欲しいという気持ちから、今回の旅行は海沿いのリゾートホテルでの連泊にしました。
家族連れに人気のホテル&リゾーツ南淡路にはプールもあり、温泉大浴場と温泉露天風呂にはキャリーチェアと手すりがあるなどバリアフリー設備が充実しています。
足の不自由な生徒達が泊まった部屋のトイレは、もちろん車椅子のまま入れる設計になっていました。
生徒達は双眼鏡を使って「部屋の窓から渦潮が見える!」と大騒ぎ。
夕食は1泊目は地元の魚介類や野菜をふんだんに使ったビュッフェ、2泊目は中華にしました。釜揚げしらすや天ぷらの実演が印象的でした。

ウェルネスパーク五色 浜千鳥を訪問

司馬遼太郎の「菜の花の沖」の主人公としても知られる、洲本市五色町出身で江戸時代の先駆者・高田屋嘉兵衛を称えるために建造されたウェルネスパーク五色には昼食を兼ねて立ち寄りました。
パーク内の夢工房では日替わりでうどん打ちや陶芸などの体験ができ、何人かの生徒は当日のイベントであったカリヤスの染色体験を楽しみました。
ウェルネスパークのスタッフは親切かつ丁寧に指導してくれました。
10月以降には体験農園でさつまいもなどの収穫体験もできるそうです。またぜひ生徒達と共に訪れたい場所です。

車椅子アクセスが行き届いた神戸どうぶつ王国で、9月から公開されたスナネコの赤ちゃんやコビトカバと対面

最終日には子供達のたっての希望で神戸どうぶつ王国を訪問しました。ここは「多機能・多目的トイレ」である「だれでもトイレ」を多く整備し、また車椅子対応トイレも設置しているため私達引率担当も安心です。
生徒たちは9月から公開されたばかりのスナネコの赤ちゃんやコビトカバにクギ付け。危うく帰りのバスの集合時間に遅れるところでした。

盛りだくさんの2泊3日、安心安全なリフト付きバスの旅は、支援学校の生徒たちにかけがえのない思い出をプレゼントしてくれました。

全員熟睡の中帰路につきました。