富士山が見たい!リフトバス利用の1泊2日の旅紀行
私が働く住宅型有料老人ホームでの、憩いの時間での出来事です。
ご利用者同士で、行ってみたい観光地の話をされており、
「世界遺産の姫路城に行った・鳥取砂丘にも行った、東京にも行った」
など話が尽きません。
でも、富士山を見たことが無いぞ!!!とあるご利用者様が口に出した。
それもそう、いままで大阪に住んでいたご利用者様たちです。
それを聞いていた施設長が、富士山を見に行きませんかと言ってしまったのです。
間違いなくご利用者様は行く・行くを言うに決まっており、
それを手配するのは、ヘルパーの私なのです。
そう、前職が旅行会社と知っている施設長は、
「行きませんか」と行った後、事務所に戻ってしまいました。
皆さまに恐々、「富士山を見に行きたいですか」とお尋ねしたところ、
「行くに決まってるやろ・・・」皆さまが口を揃えて言っております。
さて、事務所に戻り、施設長に、皆さまが行きたいという事をお話しすると、
「後は任せたぞ!!!」の一言。
やりますか!!私も富士山を見たいので・・・
さて、大阪から静岡までって遠いよねと思いながら、バス会社へ相談すると。
運転手1名の条件として、拘束時間は、1日13時間以内との事、
しかも、バス出発から到着まででは無く、バス会社の車庫の点呼から、
バス会社の車庫に帰り点検までと言うでは無いか。
さらに運転できる時間は9時間との事。また走れる距離が500kmまでとの事。
富士山までの日帰りは無理だと分かり、頭を悩ませながら企画を考えました。
【旅のスケジュール】
1.住宅型有料老人ホーム出発
2.静岡県袋井市の可睡斎に到着/昼食
3.鮎壺の滝到着/散策
4.ホテルサンバレー長岡到着/宿泊
5.韮山反射炉到着/観覧
6.伊豆の国パノラマパーク到着/散策
富士山に向けてリフト付きバスで出発
施設の前に、リフト付きバスが到着致しました。
リフトは、バスの横から出て、車いすに乗ったまま、
バス車内に入る事ができ、バス車内では車いすが固定されます。
リフトの上げ下げには、補助員さんが、お手伝いして下さり安心・安全です。
静岡県袋井市の可睡斎(かすいさい)にて心やすらぐ
バスは途中、休憩を取りながら静岡県に入ります。
大阪から約4時間、そろそろお昼の時間になってきました。
可睡斎(かすいさい)は静岡県袋井市にあり、
禅の修行道場です。徳川家康が名付けたことでも有名です。
宗派は曹洞宗で、創立は応永八年(1401年)、
本尊は聖観世音菩薩が納められ、
高祖承陽大師(こうそじょうようだいし)と
太祖常済大師(たいそじょうさいだいし)を両祖とします。
さらに宗派を越えて古来より火伏せの神とあがめられて
全国津々浦々に奉祀 されている秋葉様の日本唯一のご真躰を安置されている
秋葉総本殿三尺坊大権現の道場でもあります。
可睡斎(かすいさい)の名前の由来は11代目の住職仙麟等膳(せんりんとうぜん)和尚は、
幼い徳川家康とその父を戦乱の中から救い出しかくまいました。
その後、浜松城主になられた徳川家康は、親しく和尚を招いて旧恩を謝し、
その席上でコクリコクリと無心にいねむりをする和尚を見て徳川家康はにっこりせられ
「和尚我を見ること愛児の如し。故に安心して眠る。
われその親密の情を喜ぶ、和尚、眠るべし」
と申されました。
それ以来仙麟等膳(せんりんとうぜん)和尚は
「可睡和尚」と称せられ、後に寺号も東陽軒から「可睡齋」と改められました。
ご利用者には座禅はできませんが、
斎主老師より禅のお話をして頂きました。
また、お茶もだして頂き、長旅の疲れをほぐしておられました。
昼食は精進料理をご賞味頂きました。
地元の旬の食材を利用し、美味しい、ヘルシーな料理です。
大型バスの駐車場も広く、リフト付きバスでも楽々、スペースがあります。
鮎壺の滝でマイナスイオンを取り込む
鮎壺の滝は、静岡県指定天然記念物に指定されており、
およそ1万年前に富士山から流れた溶岩流で出来た厚さ10メートルほどの岩盤が見られます。
黄瀬川の流れで、溶岩が削られその間に出来たものが鮎壺の滝です。
車いすでは、滝の近くまでは降りれない為、滝の周囲にある公園の、
つり橋から滝と富士山を見ることができます。
バリアフリーのあるホテルサンバレー伊豆長岡にて日頃の疲れをとる
静岡県・伊豆長岡温泉にあるホテルサンバレー伊豆長岡別館
和楽にはバリアフリーのお部屋を1Fと5Fのいずれも角部屋にあります。
4ベッドルーム(ハンディキャップルーム)53㎡で部屋は広く、
ダブルベット×3 シングル×1 ※定員は4名様です。
段差や急なスロープを無くし、
車いすのお客様にご利用して頂ける様にフラットにし、
リフトチェアのままで浴槽に入れる介護施設対応のお風呂も準備して頂いております。
夕食は徒歩1分の本館にあるレストランにてグルメバイキングを堪能して頂きました。
食材は地元の沼津港の魚や三島の高原野菜、修善寺のシイタケ、
丹那高原の牛乳、など和・洋・中50種類以上の料理が出ております。
世界遺産の韮山(にらやま)反射炉を見学しよう
静岡県伊豆の国にある韮山反射炉は、
平成27年7月に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会で
「明治日本の産業革命遺産製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」として、
伊豆韮山反射炉が世界文化遺産に登録されました。
反射炉は幕末期の代官江川英龍(坦庵)が手がけ、
後を継いだその子英敏が完成させました。
反射炉とは、金属を溶かし大砲を鋳造する炉。
銑鉄(せんてつ・鉄鉱石から直接製造した鉄で、不純物を多く含む)
を溶かして優良な鉄を生産するための炉です。
銑鉄を溶かすためには千 数百度の高温が必要ですが、
反射炉の場合、溶解室の天井部分が浅いドーム形となっており、
そこに熱を反射させ、銑鉄に集中させることでその高温を実現する構造となっています。
溶かした鉄は、鋳型に流し込んで大砲などに加工されました。
実際に稼働した反射炉として国内で唯一現存するものです。
炉と煙突の部分を合わせた高さは約15,7mもあり、
実際に稼働した反射炉が残っているのは世界でもここだけです。
入館料金は一般¥500ですが、身体障害者手帳を提示しますと、
無料となり、介護人も1人無料となります。
又、韮山反射炉ガイドさんが、史跡について案内をして頂けます。
伊豆の国パノラマパークにて富士山を目の当たりにしよう
静岡県伊豆の国にある「伊豆の国パノラマパーク」は伊豆半島の付け根、
葛城山に架かるロープウェイからの景色は感動致します。
片道1,791m、標高差411mで約7分のパノラマ旅行が楽しめます。
山頂からは富士山が目の前に見えます。
車椅子でも乗車可能で、バリアフリー化されている山頂でも
車椅子での観光が楽しめます。
ロープウエイ運賃は大人往復1,800ですが、
障害者手帳を提示すると半額になります。
駐車場も広く、リフト付きバスでも楽々なスペースがあります。
昼食は山麓駅1階パノラマダイニングにて
伊豆の新鮮な食材を利用した創作料理50種類が食べ放題の
「伊豆の旬彩バイキング」でした。
メニューの一例ですが、
(伊豆名産の生わさび、ローストビーフ、
焼津黒はんぺんのケバブスタイル、はんぺん汁、みしまコロッケ、
伊豆の田舎煮込み料理)等で、堪能して頂きました。
富士山の思い出を胸に帰路
いよいよ帰路につきます。
皆様疲れて眠っておられます。
どたばたからスタートした今回の旅ですが、
ご利用者様は、富士山の思い出を胸に刻み込み、
リフト付きバスを利用し、安心安全な1泊2日の旅を楽しまれ帰って行かれました。